増え続ける独居老人が抱える孤食問題とリスク
子供の成長に大きな影響を与えるとされていることの一つに「個食」の問題があります。
「個食」というのは家族がバラバラの時間帯で食事をすることで、毎日の食事が一人だけということがほとんどであるという問題です。
個食は「孤食」とも言われており、一人で食べる食事は精神的に寂しさや孤立感を与えることになり、それが精神面によくない影響を与えるとされています。
そんな個食ですが、子供だけでなく高齢者にとっても大きな影響があることがわかっています。
独居老人の場合はまさに「孤食」と言って良い状態になっており、そこから認知症やうつ病などの重大な疾患を発症することが多くなると言われているからです。
データによると、一人暮らしで毎日の食事がほぼひとりだけという高齢者がうつ病を発症する割合は女性で1.4倍、男性ではなんと2.7倍にもなるということがわかっています。
この精神疾患と孤食の関係は、完全に独居である人の方が深刻であり、同じ家庭内に別の家族がおり「個食」であるならばそれほど大きな差異にはならないことも判明しているのです。
年々増加している単身世帯の内訳のほとんどは独居老人となっており、今後も増えていくことが予想されることから、早めに対応をしていかないと精神面の疾患も増加していく危険があります。
独居老人の問題は孤独死や病気介護のことが取り上げられがちですが、それ以前にこうした精神面への影響も考えていかなければなりません。
楽しく食事をしていくための工夫
実際に一人暮らしをしていて毎日の食事がほぼ孤食であるという人のうち、約7割は「本当は誰かと一緒に食事をしたい」と考えていると言います。
一人だけで食事をするということは心理面に寂しさを覚えるということだけでなく、食事の内容を偏らせることにもなってしまうものです。
できるだけさっさと済ませてしまいたくてインスタントや偏った内容の食事ばかりをしていたり、早食いをしてしまったりということが起こってしまいます。
高齢者の場合は特に胃腸の働きが弱まることにより、一食あたりの量が少なくなり十分な栄養を取れないということもあります。
そこに加えて、偏食や早食いをするとますます健康状態を悪化させる原因になってしまうのです。
孤食による悪影響を防ぐためには、できるだけ楽しく食事をするということが大切になってきます。
可能であれば近くの食堂を利用したり、近くの人と一緒の食事をしたりするのが望ましいでしょう。
もし難しいのであれば、毎日の食事を楽しくするための工夫を自分で行っていくということが大切になってきます。
好きなテレビを見ながらでもいいですし、自分で料理を作ることを趣味にするなど、笑って食べられる環境を作っていきましょう。