65歳以上の高齢者の事故の77%は家庭内で起こる
一昔前に比べて今の65歳というのは大変元気です。
若い頃から運動をしてきた人などは、若い30~40代の子供と同じくらいの運動能力があるという人もいるくらいです。
しかしいくら気持ちや体力が若いと言っても、人の体は年齢とともに確実に衰えが見られるようになってしまいます。
高齢による体の機能の衰えで最も顕著なのが「反応力」です。
スポーツの世界などを見て貰えばわかりますが、ゴルフのような瞬時の反応を求められないものであれば年齢に関わらず優秀な成績を出すことは可能ですが、野球やサッカーなど素早い動きや瞬時の判断能力が求められるものは40歳以上になって続けるのは非常に困難です。
つまり若い時には当たり前にできていたはずのとっさの反応も、高齢期に入ることでできなくなってしまうということです。
高齢者の事故というと目立って報道される交通事故がイメージされますが、65歳以上の高齢者の事故のうち交通事故が全体に占める割合はわずか7%程度にとどまり、77%以上の事故は家庭内で起こっているということがわかっています。
転倒事故が起こりやすいのは階段や廊下、庭先、ベッドの脇など様々ですが、中でも深刻化しやすいのがお風呂場での転倒です。
浴室はただでさえ滑りやすく危険のある場所なのですが、加えて「個室のため家族が安否の確認をしづらい」「転倒後にそのまま溺れてしまうことがある」といったことがあります。
高齢者のいる住宅ではバリアフリーリフォームをするのが理想的ですが、それができない場合もせめて浴室内に滑り止めマットなど転倒を防ぐための用品を導入するようにしましょう。
ヒートショックによる突然死に注意
もう一つ高齢者の入浴で注意をする必要があるのが冬場の「ヒートショック」です。
「ヒートショック」とは、温度が急激に異なる場所に移動することで血圧が急激に上下し健康被害が起こる現象のことです。
実際の症状としては心筋梗塞や不整脈、脳梗塞といったものがあります。
これは特に冬場の入浴時に起こりやすく、それまで温かい居間にいた人が寒い浴室に移動して裸になることで血圧が急激に上がってしまうことが原因です。
また寒い所に出て急に上がった血圧が、そのあとすぐに熱い湯船に入ることでさらに急激に下降をしてしまいそれが原因になるという場合もあります。
ヒートショックを防ぐためには、浴室暖房などで温度差をできるだけなくすということが有効な手段です。
他にも熱すぎるお湯に入らないようにしたり、湯船から出る時に急に立ち上がらないようにするといったことも予防対策になります。